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東京高等裁判所 昭和43年(ラ)183号 決定 1968年5月11日

抗告人 岡邦男

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣旨は、「原決定を取り消し、更に相当の裁判を求める。」というのであり、その理由の要旨は、本件競売の債務者兼目的不動産の所有者である抗告人は、本件抵当権の被担保債権元金一一一万円のうち相当部分を支払い、残額の支払についても債権者である競売申立人と折渉すべく東京簡易裁判所に調停の申立をするとともに、昭和四三年四月三日本件競売手続停止の決定を得た。よつて同年三月一四日に言渡された本件競落許可決定の取消を求めるというにある。

しかしながら、仮に抗告人主張のように被担保債権の一部について弁済があり残金の支払について債権者との間に折渉中であり、そのため調停の申立をし競売手続停止決定を得たとしても、それ以前にされた本件競落許可決定を違法ならしめるものではない。その他記録を精査しても原決定を取り消すに足る違法の点を発見することはできない。

よつて本件抗告は理由のないものとして棄却すべく主文のとおり決定する。

(裁判官 長谷部茂吉 鈴木信次郎 岡田辰雄)

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